●伝えられること●
左半球の脳血管が詰まったり、出血した場合は右側の手足が不自由になります。
逆に右半球が障害されると、左側の手足が麻痺して不自由になります。
そんな方々の訪問治療を続けて居ます。
そんな話を大学生にすると、だいたいこんな質問が有ります。
学生さん:「訪問治療ってどんな手技をするのですか?」
学生さんは麻痺してる手足に注目して、どんな技術で治療するのか聞きたいのです。
僕:「患者さんの身体には触れないかもしれません」
そんな風に僕は答えたりします。
学生さん:「え?治療しないんですか?」
僕:「治療は病院で出来るでしょ?家でしか出来ない事を訪問ではします」
学生さん:「?」
僕:「あなたならどんな事をしますか?」
学生さんには早いうちに分かって欲しいのです。リハビリのほんとの意味を…。
お腹が空いてる人に、食事を与えるなんて事を繰り返すセラピストにはなって欲しくない!
(だって、ずっとお腹が空いてる人と一緒に暮らすわけじゃないから…)
お腹が空いてる人が居たら、魚の釣り方を教えてあげるとか、植物を育てる楽しさを教えてあげるとかそんな事を考えて欲しい。
もしお腹が空いてる人がいたら、自分が居なくても食べていける何かを伝えなくちゃ!
本当のセラピストとは言えません。
入院してる時は毎日リハビリします。
そして病院のリハビリは長くても、約半年(180日)で終了します。
その後は…自宅で生活するって方も多いです。
学生さんは沢山治療の事を学びます。
それは決して悪い事では有りません。
でも、頭デッカチになってしまいます。
本の通りにしたら麻痺が良くなるとか…。
そんな頭の中でイッパシの治療家になります。
現実はそんな甘く有りません。
半年間病院でリハビリをした片麻痺の患者さんに、学生に毛の生えた様なセラピストが触ってどうにかなる世界では有りません。
脳の神経は残念ながら再生しないからです。
(リハビリする事で周りの脳が、機能的に代わりをする可能性はあるかもしれません)
患者さんが家に帰ったら、そこには患者さんの生活が有ります。
病院で練習したことが、実際にはあまり役立たない事だってあります。
学生さん:「自宅に帰ったら、もっと動ける様に(動かない)手足の治療を続けます」
僕:「動かないところの治療して、ずっと動かなかったら?」
学生さん:「勉強会とかに参加して、治る方法を考えたり…色々考える事はあると思います」
僕:「(動かない)手足だけ考えるのはもうやめなくちゃダメかもです。悪いところを治そうってする頭だと先に進めなくなります」
学生さん:「じゃあ、先生はどんな事をするんですか?そして何が良くなるんですか?」
僕:「植物を植えた事で、この方の気分が良くなりました。朝は決まった時間にお水をあげ、お昼はどんな状態になってるのか確認して、生活リズムが整いました」
学生さん:「元の生活に戻るって…治療だけしててもダメなんですね」
(学生さんが期待してた結果ではないかも知れません。でも、早いうちに本当の事をお伝えするようにしています)